利益が出ていても資金は足りなくなる──キャッシュフローと為替の考え方

売上が伸びてくると、「利益も順調に増えている」と思いたくなる。

しかし、事業では、利益が出ていることと、お金が手元にあることは同じではない。

この違いを理解していないと、利益は出ているのに資金不足になり、次の商品を仕入れられないという状況に陥ることもある。

利益とは何か

利益とは、売上から、その売上を作るために必要な費用を差し引いた金額である。

たとえば、次のようなケースを考えてみよう。

  • 売上:100万円
  • 商品原価:50万円
  • 国際送料:5万円
  • 関税:10万円(少し多めに見ている)
  • Amazon関連手数料:20万円

この場合、単純化すると利益は15万円になる。

もちろん、実際にはツール利用料や為替差額など、さらに細かな費用も発生する。しかし、利益とは売上から必要な経費を差し引いて残るお金と考えればよい。

キャッシュフローとは何か

一方、キャッシュフローとは、現金がいつ入ってきて、いつ出ていくかを表すものである。

利益が出ていても、Amazonからの入金より先にクレジットカードの引き落とし日が来れば、一時的に資金が不足することもある。

つまり、利益が黒字でも、手元のお金が足りないということは十分に起こり得る。

日付で見ると、違いが分かる

利益が出ていても、資金は足りなくなる

たとえば、次のような流れだったとする。

  • 3月1日:クレジットカードで100万円分を仕入れる
  • 3月10日:商品が米国Amazonへ到着する
  • 3月20日:販売開始
  • 3月30日:販売が進む
  • 4月8日:AmazonからPayoneerへ送金される
  • 4月10日:日本の銀行口座へ着金する
  • 4月27日:クレジットカード代金が引き落とされる

この例では、銀行口座への着金からカード引き落としまで約17日ある。この期間があることで、売上を次の仕入れへ回しやすくなる。

ただし、販売が想定より遅れたり、Amazonからの送金時期がずれたりすることもある。

もし販売開始が2週間遅れていたら、あるいは想定より売れ行きが鈍かったら、この17日の余裕は簡単に消える。そのため、資金計画にはある程度の余裕を持っておくことが大切である。

売上が伸びるほど資金も必要になる

初心者の頃は、「売上が増えれば安心だ」と思うかもしれない。

しかし実際には、売上が伸びるほど、仕入れや送料などの支出も増えていく。

たとえば、月商100万円から200万円へ増えれば、仕入れ資金もおおむね倍近く必要になる。

つまり、事業が成長している時期ほど、資金繰りは苦しくなりやすい。

売れているのにお金がない、という状態は、事業がうまくいっていない証拠ではない。むしろ成長している事業ほど起きやすい現象である。

まずは循環を安定させる

だからこそ、まずは次の流れを安定させることが重要である。

仕入れる → 発送する → 売れる → 入金される → カード代金を支払う → 次の仕入れ資金が残る

この一連の流れが安定してから、少しずつ商品数や仕入れ金額を増やしていけばよい。

焦って規模を拡大するより、安定した循環を作ることの方が、長く事業を続ける近道になる。

為替を積極的に利益へ結び付けようとしない

米国Amazonの売上は、米ドルで発生する。そのため、日本で仕入れや経費を支払うには、どこかのタイミングで日本円へ両替する必要がある。

為替レートが動けば、受け取る日本円の金額も変わる。

しかし、初心者が毎日為替相場を追いかけ、「もう少し円安になるかもしれない」と両替を先延ばしにすることはおすすめしない。

事業で最も優先すべきなのは、支払いに必要な資金を確保することだからである。

両替を待っている間にカードの引き落とし日が来てしまえば、為替で得られたはずの差額どころの問題ではなくなる。

両替は「ルール」で決める

最初は、自分なりのルールを一つ決めるだけで十分である。

  • 毎月末に両替する
  • カード引き落とし日の数日前に両替する
  • 毎月決まった日に両替する
  • 翌月の仕入れや経費に必要な金額だけ両替する
  • 一定額を超えたら定期的に両替する

このようにルールを決めておけば、為替相場に振り回されにくくなる。

為替管理の目的

為替管理の目的は、利益を最大化することではない。重要なのは、

  • 支払い資金を確保すること
  • 毎月の資金計画を立てやすくすること
  • 為替の値動きに一喜一憂しないこと
  • 商品リサーチや販売管理へ集中すること

である。

売上が増え、米ドル建てで支払う経費や仕入れが増えてきたら、必要な米ドルを残して管理する方法も検討できる。しかし、初心者のうちは、まず事業を安定して回すことを優先したい。

販売管理とは、監視することではない

ここまで、販売開始後の通常運営について見てきた。

覚えておきたいのは、次の点である。

  • 毎日確認する数字は、「売上」「在庫」「入金」の三つで十分
  • 管理項目は「毎日」「毎週」「毎月」「問題発生時」の四つに分ける
  • Buy Boxは価格だけでなく、配送、在庫、販売実績など複数の要素で決まる
  • 自動価格改定では、利益が残る下限価格を必ず設定する
  • 売上から入金までには、手数料や引当金、Payoneerへの送金など複数の段階がある
  • 利益とキャッシュフローは異なるため、売上だけで資金状況を判断しない
  • 為替は利益を狙うためではなく、安定した事業運営のために管理する

販売管理とは、大量の数字を毎日監視することではない。必要な数字を見て、必要な判断をすることが本来の目的である。

次回からは、通常運営の外側で起こること──Amazonからの警告、出品規制、購入者からの苦情、在庫紛失、通関トラブルなどへの対応方法を解説していく。

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