会社員だった頃の私は、決して数字に強い人間ではなかった。家計簿すら長続きせず、数字を見ることに苦手意識を持っていた。
しかし、米国Amazon輸出ビジネスを始めてから、その考え方は大きく変わった。
毎朝コーヒーを飲みながら、セラーセントラルを開く。前日の売上、月間売上、利益率、在庫の回転状況。慣れてしまえば、必要な数字を確認するのに10分もかからない。
この習慣を続けて気付いたことがある。数字が見えるようになると、不安が減るということである。
人は「分からないこと」に対して不安を感じる。「今月の売上は大丈夫だろうか」「このまま続けて利益は残るだろうか」──そんな漠然とした不安は、数字で確認できるようになると自然と小さくなる。
「何を見るか」より「いつ見るか」
商品が米国AmazonのFBA倉庫へ到着し、販売が始まった。ここまで来ると、「毎日たくさんの画面を確認しなければならないのではないか」と不安に感じるかもしれない。
しかし、そのような心配は必要ない。
販売開始後に最初に決めるべきことは、「何を見るか」ではなく、「いつ見るか」である。
初心者ほど「毎日すべて確認しなければならない」と思い込みやすい。しかし、管理項目ごとに確認する頻度を決めてしまえば、日々の運営は驚くほど楽になる。
ここでは、販売管理を次の四つに分けて考える。

① 毎日(営業日)確認するもの
初心者が毎日確認する項目は、次の三つだけで十分である。
- 前日の売上
- 現在の在庫と販売価格
- 入金予定、またはAmazon上の残高
あわせて、セラーセントラルに重要な通知が表示されていないかも確認しておこう。
ここで必要なのは、細かな分析ではない。「商品は売れているか」「在庫切れになっていないか」「入金は予定どおり進んでいるか」──この三点が分かれば十分である。
② 週に一回確認するもの
週に一度は、少し広い視点で販売状況を確認する。
- 商品ごとの販売数
- 価格とBuy Boxの状況
- 在庫補充の必要性
販売量が増えてきたら、在庫補充のチェックだけは週二回へ増やしてもよい。
大切なのは、売れた商品だけを見るのではなく、「次に何を補充するか」まで考える習慣をつけることである。
③ 月に一回確認するもの
月末または月初には、事業全体のお金の流れを確認する。
- 月間売上
- 商品原価
- 国際送料
- Amazon手数料
- 返品・返金
- Amazonからの入金額
- Payoneerから日本への送金額
- 翌月の仕入れ資金
- クレジットカードの支払予定額
- 引当金(留保金)の残高
- 販売不可在庫の有無
毎日の売上が好調でも、手元の資金が減っていることは珍しくない。
そのため、月に一度は「どれだけ売れたか」だけではなく、「利益と現金がきちんと残っているか」まで確認することが重要である。
④ 問題が起きたときだけ確認するもの
次のような項目は、通常時に毎日詳しく確認する必要はない。
- 購入者からの重大な苦情
- INFORM Consumers Actへの対応
- 在庫紛失の調査
- 税関から求められた追加書類
- Amazonからの警告
もちろん、重要な通知が届いていないかは営業日に確認したい。しかし、具体的な対応方法まで日常業務へ組み込む必要はない。問題が発生したときに調べれば十分である。
通常運営とトラブル対応を分けて考える
このように分けることには、作業を減らす以上の意味がある。
「毎日あらゆる問題に備えなければならない」という精神的な負担を減らせるという点である。
トラブルは、頻繁に起こるものではない。だからこそ、毎日心配する必要もない。起きたときに対応方法を確認すればよいと決めてしまえば、日々の運営に集中できる。
まずは3つから
初心者が最初から多くの数字を管理する必要はない。最初に見る数字は、売上・在庫・入金の三つで十分である。
数字の意味が分かるようになってから、少しずつ確認する項目を増やしていけばよい。
数字は、事業の現在地を知り、次の一歩を判断しやすくするために見るものなのである。
次回は、販売開始後に多くの人が最初に気になる「価格」──Buy Boxの考え方と自動価格改定について解説する。

